業務改善を進める上で、不安になるのが「この改善にどれくらいの効果があるのか」という点。紙の削減や、整理整頓、ちょっとした作業をやめたくらいでは、せいぜい削減されても1分2分程度。本当にこれで日々の業務が良くなるのだろうか、という疑問をお持ちの方も多いでしょう。実際には、どんな小さな改善にも必ず効果があります。今回は、小さな改善とその効果について、数字でご紹介します。

ホチキス止めをやめてみる

書類を作成、提出する際にホチキスで止めているという方も多いのではないでしょうか?デスクにホチキスを入れている方であれば、大体この作業は15秒程度で終わるでしょう。このホチキス止めの作業をやめたとしても、一回あたりの時間はたった数秒。すぐに出来る改善ではありますが、ぱっと見ただけでは非常に改善効果が少なく見えます。
多い会社では1日に100セット以上の書類をホチキス止めする事もあるようですが、1日10セットくらいの場合は、日あたりの改善効果は2分半。本当に効果があるの?と思われるかもしれませんが、これを年間で計算してみましょう。

HITツールでは、作業量の項目をダブルクリックする事で、年間の作業量を表示する事が出来ます。




先ほどのホチキス止めの作業ですが、年間にすると実に10時間15分。1日の労働時間よりも長い時間がかかっているという事が分かります。
このホチキス止めをやめるだけで、1日の有給休暇+αの余裕を作る事が出来るのです。

細かい作業は「他の人も改善しやすい」

今回ご紹介したようなホチキス止めの作業。頻度や対象の書類が違っていたとしても、他の人も同じような作業をしている可能性があります。その為、このホチキス止めの削減を他の人の業務にも適応する事で、全社的な改善効果が見込めます。
HIT活動では、このような「効果が小さくても、すぐ出来る改善」から探していただく事をお勧めしています。改善活動をする分の負荷が日常的な業務に追加されるので、「すぐ出来る改善」を実施していく事で活動の負荷を減らしていく必要があるのです。このような小さな改善も、積もり積もると大きな余裕になっていきます。
「改善活動でむしろ忙しくなってしまった……」という問題は、最初のうちはどうしても生じてしまいますが、細かい改善を実施していく事で段々と「忙しい」が無くなり、徐々に余裕が生まれるようになってくるのです。むしろ、大きい改善を狙って細かい改善を見逃してしまうと、改善活動を始めたばかりの「忙しい状態」がずっと続いてしまいます。

5秒10秒の改善も見逃さない。まずは小さな改善から

たとえ数秒の作業であっても、やめられる作業はどんどんやめていきましょう。効果が小さく見えても、必ず効果があります。また、より効果が大きな改善を狙いたい!という方は、「システム化」や「機材の導入」のような時間のかかるものよりも、まず「業務の廃止」を探してみてください。改善に重要な事は「即効性」。まずは今すぐできる改善から探していきましょう。「廃止」の探し方など、業務改善の原則にご興味がおありの方にはこちらの2つの記事がおすすめです。

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